骨が足りない方のインプラント治療~骨が少なくてもインプラントが可能になる骨造成について~
インプランはチタン製の人工歯根が顎の骨としっかり結合することによって維持されています。したがって骨量が不足している場合、そのまま治療を進めてしまうとせっかく入れたインプラントがすぐにグラグラしたり、抜け落ちたりする恐れがあります。そこでこのようなケースでは、インプラントを入れる前に骨量を増やす『骨造成』という処置をおこないます。
骨造成は骨の足りない部位に人工骨を補ったり、他の部位から自分の骨を取り出して移植したりとその方法も様々です。そして患者様の骨の状態や治療する部位によって選択する治療法も異なります。今回はインプラントの骨造成のうち、代表的な「GBR」「ソケットリフト」「サイナスリフト」の3つの治療についてご紹介していきます。
目次
GBRとは?
GBR(Guided Bone Regeneration)は、インプラントを入れる部位の骨の厚みや高さが足りない場合に新たな骨を再生する骨造成法です。日本では「骨誘導再生法」とも呼ばれます。
具体的な方法として、骨量が不足している部位に人工骨、または他の部位から採取した骨(自家骨)を補てんし、その上を特殊な膜で覆ってから歯茎を縫い合わせます。この膜は時間が経つと吸収されて自然になくなるもの(吸収性)と、吸収されずに後から取り除くもの(非吸収性)の2種類があります。なぜ膜で覆うのかといえば、骨よりも再生が速い粘膜(線維芽細胞)がその部位に入り込まないように防ぐためです。また症例によっては、人工骨(もしくは自家骨)と一緒にインプラントを埋入することもあります。
メリット
- 骨が必要な部位に適切な量だけ骨を再生できる
- 症例によっては、骨造成と同時にインプラントの埋入がおこなえる
デメリット
- 治療期間が長くなる
- 自家骨(患者様自身の骨)を使用する場合は、別に手術が必要になる
ソケットリフトとは?
ソケットリフトは上顎の奥にインプラントを入れる際、その部位の骨量が不足している場合に用いる骨造成法の1つです。上顎の奥歯の上(鼻の両側あたり)には『上顎洞』という空洞があり、この空洞があることで人によってはその部位の骨に厚みの足りない方がいらっしゃいます。ソケットリフトはこのようなケースで部分的に骨が薄くなっている場合に適用されます。具体的な方法として、上顎洞と骨の間にある膜(シュナイダー膜)を専用の器具を使って空洞側に持ち上げ、その空いたスペースに人工骨を補てん、GBRしていきます。またこれと同時にインプラントの埋入もおこないます。そこから3~5ヶ月ほどしっかり骨が出来上がるのを待ってから、上部構造の作製をおこなっていきます。
メリット
- 外科的な処置を最小限に抑えた骨造成が可能
- 術後の腫れや痛みなどのリスクが低い
- 手術時間が短く、患者様の身体的負担も少ない
デメリット
- 適用できるケースが限られる
- 狭い範囲でしか骨造成がおこなえない
- 手術する部位を肉眼で確認できない
サイナスリフトとは?
サイナスリフトはソケットリフトと同様に、上顎の奥歯のインプラントで骨量が不足する場合に用いられます。ソケットリフトと原理は似ていますが、サイナスリフトはより広い範囲に骨造成をおこなえるのが特長です。
サイナスリフトでは上顎洞付近の歯茎を切開し、空洞の側面から骨に穴を空けます。その穴から専用の器具を使って膜を剥して挙上し、空いたスペースに人工骨を補てんした後、歯茎を一旦縫い合わせます。その後、骨がしっかり出来上がっているのが確認できたら(およそ3~6ヶ月後)、インプラントを埋入する手術をおこないます。
メリット
- 広範囲に骨を増やす(骨造成)ことができる
- 手術部位を目視できるため、粘膜を損傷するリスクが軽減される
デメリット
- 手術範囲が広いため、患者様への負担が大きい
- ソケットリフトよりも治療期間が長く、費用も高い
まとめ
インプラント治療では埋入部位の骨量が不足し、治療が困難なケースもよくみられます。ただ実際に診断をしてみなければ、本当に治療ができるかどうかの判断はできません。当院では今回ご紹介したGBR、ソケットリフト、サイナスリフト、のいずれにも対応しており、個々のお口の状態をみて適切な治療法をご提案してまいります。
詳しい診断の結果、これらの骨造成をおこなうことで治療が可能なケースもありますので、他院で断られてしまったという方もぜひ一度当院にご相談ください。
当院のインプラント治療については、下記のページにも情報がございますので、あわせてご覧ください。