妊婦は歯・歯ぐきのトラブルが多発?
その原因と対処法とは?
妊娠中はいくつかの理由でお口のトラブルが起こりやすくなります。具体的には歯肉炎や虫歯、口臭などに悩まされることが多くなります。今回はそんな妊娠期に歯や歯ぐきのトラブルが多発する原因と対処法についてわかりやすく解説します。
目次
妊娠中に口腔環境が悪くなる原因
妊娠中は以下に挙げる3つの理由から口腔衛生状態が悪くなり、さまざまなトラブルに見舞われるようになります。
つわりの影響で歯磨きが疎かになる
つわりの症状が強い時期は、歯ブラシをお口の中に挿入するだけで吐き気を催すことがあります。無理に歯磨きをすると実際に嘔吐してしまうため、どうしても口腔ケアが疎かになりがちです。しかも、つわりで嘔吐をすると胃酸が逆流してお口の中が酸性になり、歯が溶けやすい環境へと変化します。その結果、虫歯のリスクが大きく上昇します。
唾液の分泌量の低下・粘性の上昇
妊娠中はホルモンバランスの乱れから、唾液の分泌量が普段よりも低下します。女性ホルモンの影響で唾液の粘性も上昇し、自浄作用も下がってしまいます。これは虫歯菌や歯周病菌が大好きな環境であり、妊娠前より口腔疾患のリスクが上昇します。
歯周病菌が元気になる
妊娠期に分泌量が上昇する女性ホルモン(エストロゲン)は、歯周病菌の大好物です。その量が増えるほど、歯周病菌も元気になるため、歯周病リスクも自ずと上がります。
妊娠中に起こりやすいトラブル
口腔環境が大きく変化する妊娠中は、次に挙げるようなトラブルに見舞われることがあります。
妊娠性歯肉炎
虫歯
妊娠期のトラブルで歯周病の次に気をつけなければならないのは「虫歯」です。上述したように、妊娠中はつわりの影響でお口の中が酸性に傾きやすく、口腔ケアも疎かになりがちです。さらには、十分な栄養を摂るために“つまみ食い”が増えることも影響して、お口の中が不潔になる時間が長くなります。その結果、虫歯リスクが大きく上昇するのです。
歯痛・歯のぐらつき
これはすべての妊婦さんに起こるものではありませんが、妊娠中は歯がジンジンと痛むことがあります。いわゆる“歯痛”が生じると虫歯になったと勘違いしてしまいがちですが、単なる歯髄充血であることも珍しくありません。とくに妊娠5か月くらいになると、歯髄の充血で神経が圧迫され、安静時にも痛みが生じることもありますが、その後は自然に消失していきます。また、歯と顎の骨をつないでいる「歯周靭帯(ししゅうじんたい)」が緩むことで歯がぐらつく場合もありますが、この症状も妊娠後期になると徐々におさまっていきます。
妊娠中の歯のケア
このように、妊娠中は歯と歯ぐきにいろいろなトラブルが生じる可能性があるため、日頃からお口のケアには十分配慮したいものです。妊婦さんは是非とも以下に挙げる点に注意しながら、歯・お口のケアに努めてください。
つわりで辛いときはうがいだけでも
フッ素とキシリトールをフル活用する
ブラッシングの際に使用する歯磨き粉は、フッ素入りのものを選ぶようにしてください。定期的に歯医者さんでフッ素塗布をしてもらうと、歯がさらに強くなります。キシリトールには、細菌の繁殖を抑える働きがありますので、普段からキシリトール入りのガムを噛むのも良いでしょう。
安定期に歯科治療やメインテナンスを受ける
妊娠初期や後期は、母子ともに不安定な状態となるため、歯医者さんへの通院はできるだけ控えた方が良いです。妊娠中期は安定期とも呼ばれる時期であり、歯科治療も問題なく受けられます。虫歯や歯周病になっている方はもちろん、お口の中が比較的健康であってもメインテナンスを受けると良いですよ。
まとめ
今回は、妊娠中に起こりうる歯や歯ぐき、お口のトラブルについて解説しました。妊娠期は心身ともに不安定になるため、お口のトラブルにまで意識が回らないことも多いですが、お母さんが虫歯や歯周病を悪化させてしまうと、お腹の赤ちゃんにまで悪影響が及びかねませんので十分にご注意ください。妊娠前および妊娠中期に定期検診を受けることで、お口の環境も正常に保ちやすくなりますよ。虫歯や歯周病になってしまっても、妊娠中期なら安全に治療できるケースがほとんどなので、まずは歯医者さんに相談しましょう。
妊婦の方の歯のトラブルに関する内容については、下記のページにも情報がございますので、あわせてご覧ください。